日本皮膚科学会キャリア支援

NewsLetter 2018 巻頭のことば

どこまでも高く、強く、しなやかに

秀道広

Release2018.6.6

そもそも優れた資質を持ち、さらに研鑽を重ねて医師となった 女性達が、社会の要請に応えて様々な役割を果たすことは、持てる 者の担うべき社会的責務と言ってよい。
日本皮膚科学会は、基本診療科の中で最も女性会員の割合が高く、近い将来その割合は男性会員を大きく上回ると予想される。 2008年、日本皮膚科学会では女性医師の就業の継続とキャリア アップを支援すべく、皮膚科の女性医師を考える会を発足させた。
しかし、当初課題とされた女性医師の就労継続や初期のキャリア アップのみでは、我が国の皮膚科学が直面しつつある課題を克服することはできない。
そこで男女を問わず皮膚科学を支える人材を養成することを目指し、この会は2014年にキャリア支援委員会に昇格し、活動の幅を広げて現在に至る。その間、若手医師を対象とするメンター&メンティーの他、皮膚科指導医養成ワークショッブ、総会での教育講演、皮膚科サマースクールを立ち上げ、絶えずその内容を洗練し、また少しずつ先輩から後輩へと活動のバトンを継いできた。
しかし、人材の養成は、単に講習会を開いたり、労働条件を緩和するだけでは得られない。本委員会は、これまで男性医師 が活躍してきた場を単に女性医師のために割り当てるのではなく、参加者はもちろん委員自身も未だ成長、発展の過程にあることを自覚し、力を伸ばし、新しい価値やシステムを生み出していくことを目指してきた。これらの取り組みは、我が国の臨床系諸学会の中でも傑出したものと自負できる。
しかし、本委員会が実施した調査では、卒後5〜10年目に何らかの理由で大学医局あるいは病院勤務を離れてそのまま戻らない女性医師の割合は依然として高い。また、男性会員は減少の傾向にあり、今後皮膚科を支える人材が不足していくことは当初にも増して大きな問題である。

長い人類の歴史は、ともすれば支配的で腕力の強い男性が中心となって様々な社会制度を構築してきた。その制度の中で、新たに女性が活躍していくには、様々な制度とともに男女各々の意識改革が必要であろう。
しかし、何よりもこれから皮膚科学を担うべき若い世代が、どこまでも高いこころざしを持ち、目の前の障壁をしなやかにかわし、乗り越えて、新しい組織とその運用方法を生み出していくことを期待したい。学問も技術もめまぐるしく変化していく現代にあって、皮膚科学は大きな危機とともに、時代の先端を切り拓く最先端にあると思う。