日本皮膚科学会キャリア支援

阿部 理一郎先生

阿部 理一郎先生のコレ !

新潟大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野 教授

「心に残ったあれコレについて」のコーナーでは、これまではほとんどの先生が本を紹介されています。好きな本を紹介することは、なんだか自分の本棚をのぞき見られている感じがして甚だ落ち着かなくなってしまうので、映画を紹介することにしました。もちろん映画に関しても、そんな程度の映画がいいの、と言われるのは仕方ないので、あまり有名ではないものを選んでみました。


パターソン

パターソン (原題:Paterson)

映画

映画(本でも)を見る理由は、自分がこれまで、これからも遭遇できないことを擬似的に経験することだと思います。特に映画の場合は内容はもちろん視覚にも刺激的なほうが好まれるでしょう。ですが、日々の日常の些細な出来事の中にも琴線に触れることは多々あることをこの映画で実感することができます。
この映画の中では本当に特別なことは何も起こりません。飼い犬と散歩したり、滝を眺めたり、淡々と流れていきます。ですが人生の充実感は日常に十分に溢れていると感じることができると思います。
グランドフィナーレ

グランドフィナーレ (原題:YOUTH)

映画

この映画のテーマは「老い」です。 原題は皮肉です。人生、一点の悔いもなく過ごすことは不可能で、逆にそれらの悔いが人生を形作っているかもしれません。内容を書くのはルール違反なのでここまでにしますが、この映画では大変きれいな風景の映像美が見られます。花に満ちたアルプスの草原、険しい山に囲まれたゴージャスなホテル。ですがその美しい風景が映画のテーマとのギャップで、何というか非常に冷たくも感じられました。
「老い」について考えることを避けてしまうのはしょうがないですが、この映画を見たことで少しの時間でも考えざる得なくなったことは良かったのかもしれません。