日本皮膚科学会キャリア支援

中部支部からの報告

M&M相談会

2021

プレゼンテーション スキルアップ5つのコツ

2021年11月20日(土)開催

2021年11月に開催されたキャリアデザイン講座では、コロナ禍でもあり、直接参加が難しいという点も踏まえて、今までなかった新たな取り組みを行いました。日本皮膚科学会のキャリア支援事業を多くの方に知ってもらい、新たな層として今後の参加、周囲への情報提供を行って頂くという点に主眼をおいて内容を企画させて頂き、事前登録なしの当日フリー参加とし、プレゼンテーションのコツをストーリー形式でプレゼンしつつ、クイズやワークショップを混ぜる形で進めさせて頂きました。
プレゼンテーションにはいくつかの役割があり、単純に学会での発表や講演など以外にも日常臨床ではカンファレンス、上司や同僚との会話、家族との会話などにも必要なスキルになります。この重要なスキルをわかりやすく学ぼうということで若手もベテランも参加しやすい環境を整えたところ、70名の参加者が集まり、非常に盛り上がった会になりました。
キャリアデザイン講座、M&M相談会を今後も続け、日本皮膚科学会所属の皆様のお役に立てるようキャリア支援事業を継続していきたいと考えております。
講演

加藤裕史(名古屋市立大学)
峠岡理沙(京都府立医科大学)
鷲尾 健(西神戸医療センター)

今回の講演ではストーリー形式で話を進めていき、演者が以下の登場人物としてスライドに合わせてセリフ形式で会話をしていきました。
登場人物 登場人物

資料の作り方基礎

ここではメラノーマの市民公開講座をみねおか部長より頼まれたかとう医師が、わしお教授に相談しながら具体的なスライドの作成方法について考えていきました。
スライド作成のコツとして以下のポイントが提示されました。

口頭での依頼の方法と受け方

この項では口頭での指示や依頼の仕方と受け方について実例を挙げつつ話を進めました。
以下の様な経験はありませんでしょうか? 上記を受けて、良い依頼の3つの条件を考えました。

動作が明確であること
(具体的な身体の動かし方がイメージできること)

期限が明確であること
(「いつまでに」、どのくらい「工数」をかけて行うか)

目的と背景が明確であること
(相手が主体的に動くためにも目的と背景を確認する)

実例として、

「□□さんの外来サマリを作っておいてくれる?」

「明日膠原病内科と合同カンファレンスがあるから、それに向けて□□さんの外来サマリを作ってくれる?まだ診断が確定していないみたいだから相談したいらしいの。」



それなら過去の臨床写真や病理プレパラートも用意しておきますね。

のように、依頼された相手の能動的な動きを促すような依頼方法が推奨されます。

コミュニケーションのお作法

この項では学会での質疑を題材にコミュニケーションのお作法を学びました。
要点としては以下の3点が挙げられました。

発言に見出しをつける
質問です / 報告です / 確認です
最初に宣言することで相手に話を聞く準備をさせる

質問にストレートに答える
Yesです / Noです / 遅れています
相手の質問にストレートに答えた後に詳細を述べる

語尾をはっきりさせる
○○だと思いますけど......など、曖昧な語尾で終わらず、きっちり言い切る

プレゼン資料を作る

ここではプレゼン資料を作る7つのSTEPに沿って参加者にプレゼンテーションを作成してもらいました。資料を組み立てる7つのSTEPは以下の通りです。

自分が話したいことを思いつくままに書き出す

言いたいことと相手(聞き手)にして欲しいことを一言で表現する

相手(聞き手)とその人の状態、状況を確認する

STEP1で出した情報をスライド毎に分割し、構成を決め(紙とペン)

スライドのラフスケッチを描く

パワーポイントのスライドを作る

一晩寝かせた後に聞き手の気持ちで読み返して修正する

伝わるプレゼンテーション

最後に実際のプレゼンテーションのコツとして10のコツをお伝えして講演を終了いたしました。

朗読ではなく、自分の言葉で語る

丁寧に話しすぎると伝わらない。平易な言葉で話す

相手の理解度について顔を見ながら確かめながら進む

堂々と話す

はっきり聞こえるように大きな声で話す

どの部分を説明しているか明示しながら聞き手が迷わないように説明する

ぶっつけ本番ではなく、必ず事前にリハーサルをする

聞き手の態勢を作る(プレゼンに見出しをつけ、何の話をするかしっかり伝える)

スライドの冒頭に伝えたいことを一言で言う

質疑応答はコミュニケーションのお作法を守る

参加者
アンケート結果

今回のレクチャーの満足度

0点(良くなかった)から5点(大変良かった)まで でスコアをつけて頂いた結果、レクチャー自体の平均は4.8点と概ね好評を頂きました。
ワークショップは4.6点と若干低い結果となっており、ハイブリッドの都合上直接説明することができなかった点と、時間の制約のために十分なワークの時間が確保できなかった点が今後の課題です。

プレゼンテーション方法の参考になったか

こちらも0点(良くなかった)から5点(大変良かった)まででスコアをつけて頂いた結果、平均は4.8点と比較的好評であったことがわかります。
課題として、事前申し込みではなく、当日参加するシステムにした場合、アンケートの回収率がやや低いことや、オンラインで気軽に参加できたことから、途中退室される方も少ない数ですがみられました。これらに関しては今後改善の余地があると考えられました。とはいえ、最大同時視聴70名以上と、多くの方に参加頂くことができ、今回の主目的であるキャリア事業の紹介という意味では一定の成果が得られたと思われます。