日本皮膚科学会キャリア支援

西部支部からの報告

M&M相談会

2021

やりたいことを見つけよう!
〜ピンチをチャンスに〜

2021年10月30日(土)開催

ミニレクチャーの前半では、熊本地域医療センターの市原麻子先生に、お子さんを連れての研究留学に関して、準備や留学先でのご苦労などのご経験についてお話しいただきました。後半は、日立総合病院の伊藤周作先生に、皮膚外科をサブスペシャリティーとして習得するためのステップアップの方法についてお話しいただきました。

地方基幹病院で皮膚科を楽しもう

伊藤周作先生からのメッセージ

私の勤務する病院は、約26万人の地域人口を抱える基幹病院です。最寄の大学病院までは車で1時間半の距離があり、ほとんどの疾患の診断から治療までを地域で完結させる必要があります。
また、完全紹介制への移行で昔と比べ基幹病院皮膚科の外来患者数は減少傾向で、収益を上げるためには入院加療を増やす必要があります。そこで必要となるのが皮膚外科です。皮膚腫瘍の切除と皮弁や植皮による再建、リンパ節郭清、壊死性筋膜炎やガス壊疽などのデブリドマン、熱傷の植皮などを皮膚科で行うことができれば地域医療に役立つだけでなく、収益面でも大きく貢献します。当院では、皮膚科で取り扱う手術をレベル別に並べた図のLevel IVまで皮膚科単独で行っています。もちろん救急科や形成外科、整形外科などの協力が欠かせないことも多く、日頃から院内はもちろん、院外(私の場合はゴルフ)でのコミュニケーションもとても大切です。
皮膚外科技術の習得には、手術件数の多い施設での研修が望ましいものの、それができない場合は、上級医や手術を依頼した形成外科などの手術を積極的に見学し、自分でその手術記事を細かく書いたり、ビデオカメラ(最近では頭に付けるアクションカメラ)で記録し繰り返し 観たりするなどの方法もよいと思います。
今自分でできる手術より少し難しいかなと感じる手術に取り組むことを繰り返せば、皮膚外科技術は自然と向上します。院内に相談しやすい外科医や形成外科医を作り、万が一のときのバックアップをお願いできればベストです。
皮膚外科を学ぶことで、地方基幹病院で楽しく長く皮膚科を続けることができると思います。

講演の感想

M&M相談会

例年対面で行っていたM&M相談会はweb形式での開催となり、28名の先生方にご参加いただきました。 以下に、M&M相談会終了後のアンケート結果を紹介させていただきます。

メンター
アンケート結果

相談会で出された質問と
提示した解決策について

子育てと仕事との両立をどうしているか?

  • ・ご家族や、宅配、ベビーシッター、家事代行などの力を借りて、自分の時間を確保したほうがよいとアドバイスをした。
  • ・100%完璧を目指さなくても、今やるべき仕事を少しずつ進めていくと大きな成果につながるため、とにかく皮膚科を続けていくことが大切と伝えた。
  • ・仕事を休まざるを得ない自分に葛藤することになると思うが、今は周りに感謝して、自分にできることをする。子どもが成長して十分仕事ができるようになったら、周りをサポートすればよいと回答した。
  • ・子どもを保育園に預けることについて、沢山の人に可愛がっていただくメリットはあり、寂しいといった負の感情、自立も子どもの成長にとって大切な要素である。短くても密度の濃い親子時間が過ごせると思うと伝えた。

専門医資格は取得したほうがよいか?

  • 専門医資格は、早めに取得しておくと、その後のキャリアの選択肢を邪魔しないと思う。子どもが小さいと勉強時間の確保は大変だが、育児は当分続くため、早めにチャレンジを始めたほうがよいとアドバイスをした。

臨床医でも研究は必要か?

  • ・臨床医でも基礎的な知識は必要な時代になってきている。自分で何か調べようと思ったり、 論文を読んだりするときに臨床研究、基礎研究など研究方法を知っておく必要があると回答した。

留学についてはどのように考えたらよいか?

  • ・医局や経験のある先輩などから、早めに情報収集をしておくとよい。留学助成金を得るために大学院修了後5年以内で考えるのがよいかもしれない。40歳くらいの留学でも海外に行けばあまり年齢は関係なくなると感じたと伝えた。

やる気のある人や控えめな人など温度差があるが、どのように指導するのがよいか?

  • ・最初が肝心で論文などの指導もみっちり教え、その後は指導点を減らして自立を促していく。
    手厚すぎる指導がプレッシャーに感じる人もいるので、匙加減が必要で難しい点もある。提出してくれた論文は、なるべく早く返すようにするとよいと伝えた。
感想、今後への提案など
  • ・少人数グループの相談会は話がしやすい雰囲気でよかった。
  • ・敷居が高いと感じられているメンティーの先生も多いようなので、よりハードルが低くなればよい。
  • ・実はメンターとメンティーの境目はそんなにないのではないかと感じている。
  • ・今回はオンラインでの相談会だったので、現地にいかなくても参加できた点がよかった。
  • ・今後の希望が沢山ある若手医師の方とお話しできて、毎回元気をもらえる。

メンティー
アンケート結果

印象に残ったメンターの言葉
  • ・「今目の前のことを全力でし、チャンスがきたら必ず掴むことが大切」(子育てとの両立、専門を決める時期、留学や大学院について今すべきことに関する相談)
  • ・「どうしても忙しいときは、子どもと一緒に夜9時に寝て朝3時に起床してから仕事する」「子どもは親が仕事している姿を見ている」「ベビーシッターや家政婦を雇い、子どもが小さいうちは凌ぐ」「大きな夢も一歩ずつ歩みを進めたら、近づいていく」(子育てとの両立に関する相談)
感想、今後への提案など
  • ・育休復帰後の働き方について、他大学の現状がわかり、自分の大学の制度を客観的に比較して考えることができた。きついながらも頑張っていたら、評価や人事にもつながることがわかり、努力は報われるんだと思った。
  • ・将来に対する不安が解消され、今何を優先して行動するべきか知ることができた。
  • ・研究、臨床、市中病院、開業医と幅広い分野のメンターがいたほうが多様性の観点からよいと思った。
  • ・公の場では言えないことも、個人相談であれば言ったり聞いたりすることができて、ためになった。
  • ・自分の周りには仕事をしながら子育てをされた皮膚科医がいないため、そういった方とお話しできる貴重な機会となった。