日本皮膚科学会キャリア支援

東京支部からの報告

M&M相談会

2020

皮膚科医の社会的役割について考える

2019年11月16日(土) 17:30~19:00 開催分

講演の前半では、幸野健先生(前 日本医科大学 千葉北総病院教授、現会津中央病院)に、皮膚科診療への取り組む姿勢、患者接遇、日常出会う多くの疾患で考慮すべき他診療科領域疾患の併存など、多くの具体的なお話をいただきました。
後半は、「皮膚科医だからこそできた診断・治療」をテーマに3人の中堅医師によるパネルディスカッションを行いました。大ベテランでなくても「〇〇だと診断して適切な加療につなげることができた」といった、皮膚科医だからこそできた診断や治療の体験を提 示し皮膚科医としての存在意義を討論しました。講演会の視聴者は約50名でした。
基調講演

皮膚科診療で学ぶ人間学─自分と 患者さんを共に磨く

幸野 健先生(会津中央病院)

「毎日の診察は楽しいですか? 診察に生き甲斐を感じていますか?」という視聴者への問いかけから始 まりました。
人生の途上において、突然襲いかかる出来事として、患者、家族、医師をも巻き込み、時に人生観をも変えてしまう疾患に対し、我々医師はどのように対応すべきなのか、自然科学的な態度としてあるがままの皮膚症状をとらえる姿勢も重要だが、その皮膚疾患を持った個人に対する人間学的皮膚科診療の重要性、を特に説かれました。話は具体的で、性別、年齢、身長、体重、住所、職業、内服歴、合併症、既往歴を含めた問診により、疾患のカテゴリー、基礎疾患、原因の推定、過度の期待を抱いていないか、どれくらい早く治療しなければならないか、などまで掴むことが大事であると、訴えられました。日常診療でよく遭遇する、手湿疹、蕁麻疹、血管浮腫、帯状疱疹、皮膚瘙痒症、乾癬などを例に、きめ細やかな対応や重大疾患の鑑別の指導がありました。
「世界には二つの関係しかない。“私とそれ”か“私とあなた”のどちらかだ」という言葉を引用され、患者を自分と同じ一個人として見ることの重要性を説かれ、講演は終了しました。

M&M相談会

例年、対面で行っていたM&M相談会はweb形式での討論となりました。例年よりも参加者は少なめでしたが、会場に足を運ばなくても相談でき、プライバシーが保たれ、相談形式に対するメンター・メンティー双方からの評判はいずれも上々でした。最終的にはメンター8名、メンティー5名が参加しました。
メンターの評価(8名回答) メンティーの評価(5名回答)
相談会について ・大変よかった7名
・よかった1名
・大変よかった5名
相談形式について ・大変よかった5名
・よかった2名
・ふつう1名
・大変よかった5名

メンターの感想

メンターからは次のような
感想がありました。

相談会について

  • ・持続的なメンターが見つからないメンティーに、キャリア支援委員会がメンターをマッチングし、サポートできるとよい。
  • ・若手の先生の悩みを実際に聞くことができ、自身の医局の若手の指導にも活かすことができると思った。

相談形式について

  • ・最初の2~3分はどの話題から始めたらよいのか戸惑ったため、 アイスブレーキングのようなお題があれば話しやすくなるのではと思った。
  • ・1:1だったので、メンティーの話をよく聞けた。一方、名刺交換ができなかったので、一期一会になってしまった。
  • ・プライバシーが完全に保たれていた。

その他

メンターの経験には偏りがあり、すべての質問にうまく答え てあげることは難しいため、1:1よりは2:2くらいのほうがよいのではないか。

メンティーの感想

メンティーからは次のような
感想がありました。

相談会について

  • ・親身に相談に乗ってもらい、自身の悩みについて沢山話すことができた。

相談形式について

  • ・離れた場所にいる先生と気軽に話せるのはオンラインならではだと思った。
  • ・始まる前は緊張していたが、有意義な時間を過ごすことができた。

メンターの先生に聞きたいことは聞けましたか?

  • ・研修先に近い学年の女性上司が少ないので、様々なパターンの研修の仕方を聞くことができ、大変参考になった。
  • ・医局の先生方には相談しにくいことも沢山相談できた。
  • ・ベテランの先生で緊張したが、気さくにお話しくださり、いろいろな相談ができた。先生のプライベートを含めた経験談が聞けたのもありがたかった。出産の時期など悩んでいたが、本日の会を参考に将来の予定を立てていけたらと思った。