日本皮膚科学会キャリア支援

千貫祐子先生のコレ !

島根大学医学部皮膚科 講師

ラプラスの魔女

ラプラスの魔女

東野圭吾著 角川文庫

著者はスコットランド出身で、有機化学で博士号をもち、製薬会社に新薬開発に従事、その後は大学で教えたり、執筆活動をしたりしている方です。科学の知見を日常生活に結びつけ、分かりやすく紹介するワークショップ、講演活動も行っています。

幸福になるために一番確実で手取り早い方法があったら誰でも知りたいとですよね。特に気分が落ち込んだとき。我々で言うと投稿論文がリジェクトをくらったときなんて最低です。
そんなとき皆さんはどうされていますか?ヤケ酒とかやけ食いとか?私の場合はお風呂にゆっくり入って早めに寝る、という処方箋だったのですが、この本によると人に親切にするのがベストなようですよ。

色々な研究を引用して、どのような行為をした後に幸福感を感じるかを調べたところ、他人のためにお金を使った人が 一番幸せを感じていたそうです。人助けができてしかも自分にもプラスになって、こんないいこと他にないと思います。しかもアンチエイジングにもなるらしいです。これからは教室員や学生に親切にしよう、と強く心に誓いました。
マスカレード・ホテル

マスカレード・ホテル

東野圭吾著 集英社文庫

もう一つのお勧めは「マスカレード・ホテル」です。 物語の舞台は、一流ホテルのコルテシア東京。 都内で起きた不可解な連続殺人事件。
残された暗号から判明したのは、次の犯行場所がこのホテルということのみ。そこでこのホテルで潜入捜査が始まるわけですが、ホテルマンと刑事の協力や葛藤が、実に絶妙な描写で書かれています。
お客様を信じなければならないホテルマンと、お客様を疑ってかからなければならない刑事。
そんな中で、両者の歩み寄りや成長も感じられる物語の展開です。最終的に、誰が犯人で、次の犯行は防げるのか。

個人的には、最近宿泊したホテルで、サングラスをかけて杖をついた老婦を見かけて、少し胸がドキドキしました。
この小説も 2019年1月に映画化され、受験の終わった息子と一緒に早速映画の方も観に行きましたが、やはりとても面白く、小説を読んでこその面白さもあったように感じました。

東野圭吾さんの作品は、度々映画化されています。皆さんも是非この機会に映画と一緒に小説の虜になってみてはいかがでしょうか?
ちなみに、ラプラスの魔女には魔力の胎動、マスカレードホテルにはマスカレードイブ、マスカレードナイトといった別の物語もあるので、是非、それらも併せてお楽しみください。