渡辺玲先生のコレ !
筑波大学皮膚科講師
僕らはそれに抵抗できない
Adam Alter 著 ダイヤモンド社
依存症と聞くと、薬物・アルコールなど「物質」を体内に取り込む依存症を 思い浮かべますが、この本のテーマは、有害な行動を繰り返さずにいられなくなる「行動」への依存症です。依存症ビジネスは、行動嗜癖を標的として私達が依存症になるようにデザインされたビジネスを指します。イメージわきますか?ネット依存、ゲーム依存、買い物依存・・・、こんな単純な言葉だけでは語れません。もっと細やかに、至るところに依存症の種がまかれているんです。スマホで簡単に受信メール通知を確認できれば、未読メール0維持のためにますますメールチェックせずにいられなくなったり(仕事用メールの70%が、なんと受信から6秒以内に開かれているそうです)、ウェアラブル端末でその日の運動量が簡単に分かると、運動量が昨日より少ないという事実を目の当たりにする恐怖から、無茶な目標更新を繰り返すようになったり、Netflixのおかげで簡単にドラマをまとめて入手できれば、余計に全話一気に観ずにはいられなくなったり・・・。容易に扱えるハードとソフトを介して、 ビジネスは私達が手間なく気軽に依存症になれるように仕組んでいる、というわけです。
私はスマホを持っていません。絶対に持ちたくないという確固たる信念があるわけでもないのですが、使いこなせないし、溺れるし(パックマン、テトリス、Angry Bird、一度始めたら止められず、ネットサーフィンも大好き)、という理由で、お会いする皆様に哀れみの眼を向けられつつ、ガラケーにも笑われそうな携帯電話もどきを使い続けてきました。 要は、自分への信頼のなさ故です。そんな私がこの本を読んで、自分への信頼のなさって案外正しいんじゃないかしら、なんて少し自信を取り戻したりもして。それでも罪悪感もあるんです。電車の乗換案内とか、急なレストラン探しとか、Uberを呼ぶとか、ぜ〜んぶ、ご一緒した方々のスマホ任せです。 今までご迷惑をおかけした皆様、申し訳ありません・・・。そして目下の懸案は、「いい加減にスマホ買ってよ!」と連日迫りくる交渉力の高い我が家の teenager です。