日本皮膚科学会キャリア支援

安部正敏先生

安部正敏先生のコレ !

医療法人社団 廣仁会
札幌皮膚科クリニック院長

特効薬 疑惑の抗癌剤

特効薬 疑惑の抗癌剤

雪村悠康 著 二見文庫

二度あることは三度ある。まさにその通りで、3年連続の登板である。剰え、前回日皮会事務局に著者のスパイがおり、もし次があるなら驚愕の事実を暴露すると記した。それでも依頼が来るとは事務局は血迷ったか?しかし、 敵もさるもの何とスパイを拘束した!とのこと。暗に"仏の顔も三度まで"で、 真面目に記せ!との事であろう。ただ、著者の方が一枚上手であり、何食わぬ顔でスパイとともに新幹線で新大阪に出、関空から第三国に出国させる心算であったところ、あろうことか某自動車会社元トップがこの秘策を使ってしまった。これ以上記すと著者に火の粉が降り注ぐので一先ず暴露は中止する。
ともかく、三度目の正直は何とか厳めしく箔をつけ ようとトルストイの"戦争と平和"を読もうとした。 しかし、あまりの長さに早くも挫折。ならば哲学的高貴さを狙いベネディクトの"菊と刀"を手に取るも、著者にはチンプンカンプンでまたしても挫折(白状すれ ば埃をかぶって手元にあった大学時代の哲学教材である)。ならば映画だ。最新機種機内では、個人モニターが装備され移動中映画鑑賞が可能だ。無料であり、し めしめと神妙に見始めると悲しいかな飛行時間の短い国内線であり話半分で着陸。しかし、番号を控えておくと次回搭乗時そこから再生が可能で、勇んでメモするも、またしてもそれを紛失する為体である。
実は著者は、昨年初めて学研より一般向け書籍を出した。事務局はそれを引っ張り出させ、赤っ恥をかかせようとの魂胆であろうがそうは問屋が卸さぬ。怪しげなスキンケアの本などうっかり紹介すると専門医剥奪の危険を伴う。著者が某誌連載中の鉄道エッセィの方がまだましであるが当然左様な愚行は犯さぬ。
お忙しい読者の先生方の一服の清涼剤にはやはり ミステリーがいい。霧村悠康著「特効薬 疑惑の抗癌剤」は著者が医師であり医療描写も忠実である。 手術終了後にオペ着姿の医師がだしぬけに登場し「手術は成功だ!」などという矛盾だらけの場面は登場しない。本書は抗癌剤の臨床試験を題材に大学病院、製薬会社の思惑と人間模様が交わり、読者が医師なら十分満足できる内容である。
実は著者も自らの専門性を遺憾なく発揮した渾身のミステリー構想を持っており、某出版社に売り込み中である。古今東西ミステリー作家が誰も着想し得なかった前代未聞の大トリックであり、江戸川乱歩賞や本屋大賞はおろか各種大賞を総なめ確実である。そうなれば今度こそ是非本稿で堂々とご紹介したい。もちろん皮膚科学知識を遺憾なく発揮した医療サスペンス...ではなく鉄道ミステリーであるが...。
(今回も事務局N氏はコメントしたくてしょうがないに違いない...)

2019のN

某日、怪しげなメールが届いた。送信元は、かのスパイからだ。 添付されていた画像を開くとそこには、テレビ番組で食べ物や映画のうんちくを得意げに語る某タレントと満面の笑顔のA部先生が写っていた。 更によく見ると、A部先生の手元には、一般向けに上梓されたというご著書があるではないか。この一枚の画像の意味に頭を悩ませ、忖度をした"ざんねんな"私はこの本をAmazonで「すぐ買う」ボタンを押した。かのウィルスでマスクを高額で売りさばいた商人に負けるとも劣らない商魂である。
とは言うものの、読んでみると、一般の人が気になっている話題に対し、硬軟交えて、分かり易く説明がなされている良本であった。早速知人たちに宣伝して歩いて回る為体である。「皮膚科専門医が見た!ざんねんなスキンケア47」は全国書店で絶賛発売中です!(N)