大久保 ゆかり先生のコレ !
東京医科大学皮膚科学分野 教授
ストレスと女医
上手にキャリアを重ねるために
著者:マジョリー・A.ボウマン,デボラ・I.アレン
この本との出会いは、私が東京医科大学医師・学生・研究者支援センター(現・ダイバーシティ推進センター)のセンター長としての仕事をしていた時です。男女を問わず、医師がライフイベントと仕事を両立し、働き続けて行くための環境整備や勤務体制などの制度設 計、相談、支援を行うことが主な業務です。日本皮膚科学会でいえばキャリア支援委員会に相当するものです。その間、ロールモデルとして同窓の医師を学生のキャリア教育の一環として招聘し、医師としてのご自身の人生について、臨床・研究と共に講義をして頂いていました。そのお一人に精神神経科医の堀川百合子先生がいらっしゃいました。細いお身体からみなぎるエネルギッシュな行動力と患者さんへの愛情、人を惹きつけてやまない魅力が溢れておられました。その堀川先生が御主人と共に米国に留学なさっていた時に、この本と出会い、1990年、日本の女性医師のために翻訳をされたものです。当時の米国でも女性医師は現在の日本と同じ悩みを抱えながら生 きていたのだということがわかり、大変驚きました。そしてそれぞれの問題に対する対処法も現代に通じる ものでした。世界共通の女性医師の悩みとその考え方について、再認識できます。女性医師として歩み続けることを励まされます。今では中古本しか手に入らないかもしれませんが、手に取って読んで頂ける機会が あれば嬉しいです。
反田恭平 〜第18回ショパン国際ピアノ・コンクール・ライヴ
反田恭平
2020年以来、新型コロナウイルスのパンデミックはいよいよ3年目に突入しました。このようなコロナ禍、皆様は何に癒されていますでしょうか? 私は専らクラシック音楽を聴いて癒されています。特に2021年の第18回ショパン国際ピアノ・コンクールで第2位に 入賞した反田恭平氏のピアノの音色には何度聴いても魅了されます。彼の音色は叙情的で、絵画のようにその情景が目の前に拡がってくるのです。中でも第2次予選の、ワルツ第4番へ長調Op.34-3、第3次予選の、ラルゴ変ホ長調Op.posth《神よ、ポーランドをお守りください》、ポロネーズ第6番変イ長調Op.53《英雄》、決勝の、ピアノ協奏曲第1番ホ短調Op.11が私のお気に入りです。反田氏はショパンの心情を理解するためにワルシャワに長く住んで練習を重ねたそうで、まさにポーランド人の心に強く、そして優しく響く音色だったのではないでしょうか。コロナ禍、これまでと異なるストレスにさらされる中、音楽の力の素晴らしさを改めてかみしめています。