日本皮膚科学会キャリア支援

皮膚科医の勤務状況に 関する実態調査報告

2019年に「第2回 皮膚科医の勤務状況に関する実態調査」として、会員や研修施設を対象とした大規模なアンケート調査を行いました。
その調査報告より結果の一部を取り上げてご紹介します。

良かったところ、頑張っているところ

宿直回数や入院患者を担当している割合が多いのは、20代、30代

20代の7割、30代の約半数が宿直をしていました(図1)。また、入院患者を担当しているのもこの世代でした(図2)。
外来日数は、年齢が上がるにつれて増加していました。手術については、年齢が上がるにつれて減少する傾向はありましたが、半数以上が手術を行っていました。

良かったところ、頑張っているところ

20代、30代は後進の指導に意欲的

20代、30代の約3割は、「後進を指導したい」と考えていました(図3)。
この世代は、入院患者の治療、手術、病理診断、研究など専門分野別の問いに対しても、「現在、後進への指導はできないができるようになりたい」と回答していました。

あなたは現在、入院患者を担当していますか あなたは現在、入院患者を担当していますか 専門医取得後、大学病院やその関連病院で後進を指導したいですか

多くの女性医師が 出産育児後に復職している

女性は、0歳児がいる人の約半数が、非常勤・パート タイムもしくは休職中でしたが、子供が1歳以上になると多くの人は復帰しており、子供が大きくなるにつれ、非常勤・パートタイムの割合も減少しています(図4)。
また、現在、休職中の約4割の人が「常勤で復職したい」と考えていました(図5)。

末の子の年齢別の勤務状態(女性) 末の子の年齢別の勤務状態(女性) 復職する際には、どのような勤務形態を希望しますか

改善したいところ

管理職への意欲が低い

医局長と病棟医長について、「やりたい」もしくは「状況によってはやってもよい」と考えている人は3割以下に留まっていました(図6、7)。
病院診療部長、医局長、病棟医長、地方勤務の希望者数は男女差があり、「やりたくない」と答えた人は男性より女性が多いという結果が得られています。

医局長 医局長 病練医長 対象、調査期間、方法について

研究に従事している女性が少ない

研究にかける時間は、男性が平均5.7時間、女性が2.9時間であり、研究に従事している割合は、男性が48.3%、女性が28.5%と、女性が少ない結果でした(図8、9)。卒後1年目からの経歴では、男性は4〜7年目の15〜20%の人が研 究機関(大学院含む)に所属していましたが、女性では5〜8年目の10%弱に留まっています。この結果より、研究に従事する女性が少なく、女性が研究をしない傾向にあることがわかりました。

1週間あたりの平均的な実働勤務時間(研究) 現在、研究(臨床研究を含む)活動をしていますか 1週間あたりの平均的な実働勤務時間(研究)

おわりに

調査へのご協力、誠にありがとうございました。
詳細な調査結果は、日本皮膚科学会ホームページ(報告書)、 日本皮膚科学会雑誌第131巻第4号(ダイジェスト版)に掲載しています。
調査結果から、日本皮膚科学会が抱える課題が明らかになりました。
ぜひ、報告書やダイジェスト版をご一読ください。