日本皮膚科学会キャリア支援

皮膚科サマースクール
研修医からの質問 皮膚科のここが聞きたい!

ここでは、皮膚科サマースクールに参加された研修医の先生方から頂いた 実際の質問を掲載しております。
皮膚科医はこれから人手が余ると言われていますが、実際はどうでしょうか?
理事長 天谷 雅行 先生
慶応義塾大学 教授
「皮膚科医が余る」ということはありません。誤認識です。特に、医育機関、基幹病院において、多様性のある皮膚疾患を診療する専門医は不足しています。実際に、皮膚科患者が多いために非専門医による診療によって支えられている事実もあります。
より多くの皮膚科専門医を育成していくことが、私たちの大きな責務です。
一緒に皮膚科領域を盛り上げていきましょう。
どんなときにやりがいを感じますか?
杏林大学 教授
大山 学 先生
患者さんとともに疾患の治癒過程を実際に目に見えるかたちで共有し、ともに喜びを分かち合えたときに大きなやりがいを感じます。

皮膚科の疾患の大きな特徴の一つに「外からみえる」ということがあります。皮膚や付属器疾患は命に直接的にかかわるものは少ないかも知れませんが外観=アピアランスの障害はしばしば患者さんに重くのしかかり、社会生活を困難にし精神的に大きな負担をあたえます。それは時として痛みや痒みといった症状以上に患者さんに苦痛をあたえるものとなり得ます。

皮膚科医は診療で患者さんと同じもの(=病変)を目にし、治療への反応性をリアルタイムで確認していくことができます。自分の医療技術により、疾患が治っていく経過をまさに患者さんと共有できるのです。これは皮膚科医の大きな特権の一つであり、ついには疾患を克服した時の達成感・充実感はとても大きなものだと思います。
院に進む人はどれくらいいますか?
また、どのタイミングで大学院に行くのが良いと思われますか?
帝京大学 教授
多田 弥生 先生
院に進む人が全体のどれくらいの割合かは施設によって異なりますが、大学院での研究生活は医学博士取得のみならず、臨床能力向上にもつながります。
なぜなら、大学院では学ぶことは臨床の現場で行なっていること、そのものだからです。
  1. ① 未知の事項が明らかになることの重要性は何か、既知の情報をもとに思考を整理する
  2. ② ①の過程で必要な情報を調べる(特に英文論文、英語の教科書からの最新情報の収集)
  3. ③ 未知の事項を明らかにする目的で、研究を立案、実行(実験、臨床研究など)
  4. ④ 研究の結果を解析し、論理的にまとめる
  5. ⑤ 新規知見の意義を皆にわかりやすく伝える(学会発表、論文作成)
患者の診断がつかない場合、文献を調べ、有識者の意見を聞き、確定診断に必要な精査を行い、結果を解析し、診断、治療に結びつけ、その過程を患者にわかりやすく説明をするのはまさに①ー⑤のステップになります。
また、医学の進歩に伴い、基礎医学の知識は臨床に必須となっているため、臨床能力を下支えする基礎研究能力がなければ、臨床能力は頭打ちになる時代です。
目の前の患者のために優れた医師になるべく自己研鑽をつみたい、また、新規知見を発見し医学に貢献したい、と思った時が大学院に進むタイミングではないかと思います。
研修医のうちにやっておけば良いことってありますか?
三重大学 教授
山中 恵一 先生
入局してくれた皮膚科専攻医の先生を見ていて、充実した2年間を過ごしてきたなと感じます。 研修医1年目でローテートする内科・外科などのメジャー科もとても大事で、皮膚科医になった時にもとても役立ちます。

救急もしかりで、病棟・外来での緊急時にはとても頼りになり、自分の過去を振り返っても貴重な時期でした。
勿論、皮膚科に直結する形成外科や膠原病内科の知識も学びたいです。
もし海外の研修もカリキュラムに入っていたら、是非参加したいですね。そういう意味では研修医の時期は、モラトリアムではなく医師として成長するために貪欲に最大限に有効活用すべきです。皆さんがやる気をもって研修すれば、指導医も熱意をもって教えてくれます。あっという間の研修医生活であって欲しいです。
留学はしやすいですか?
川崎医科大学 教授
青山 裕美 先生
(キャリア支援委員会委員長)
できますよ。
最近では,女性で子連れ留学も珍しくありません。
留学には研究目的の留学や臨床力をつけるための留学があります。前者では海外,後者では国内の場合が多いですが,もちろん臨床目的の海外留学もできます(病理など)。
後期研修プログラムの中で,興味をもった分野を深めたいと思ったときは,先輩に相談したり,日本皮膚科学会のCDLS,M&M,日本研究皮膚科学会のきさらぎ塾に参加して,情報収集することをお勧めします。
研究目的の留学をする場合には,充実した留学生活をおくるためにも,学位取得と研究力を高めていくことをお勧めします。そのためには,大学院に入ることがもっとも近道と思います。
同時に,留学して成果を得て帰国することは,それなりの努力苦労が必要なことは言うまでもありません。富士山に思いつきで登る人がいないように,脚力に合わせた計画準備が必要ですね。
男性医師が仕事をしにくいことはありますか?
(女性医師が多い、肌を診なくてはならない等)
京都府立医科大学
浅井 純 先生
男性医師が仕事をしにくいということはありません。女性医師が多い診療科だからこそ、男性医師が活躍する場も多くなると思います。  

例えば、女性医師の診察を希望する患者さんがいる一方で、男性医師の診察を希望する患者さんもいます。また、私が専門とする分野(皮膚腫瘍・皮膚外科)では、男性医師も女性医師も性別による差を感じることなく仕事をしています。

杏林大学
佐藤 洋平 先生
男性医師が働きにくいと感じたことは、自分自身はありません。
受診される患者様が、女性医師を希望される場合もありますが、女性医師が不在で男性医師が診ることになった際も、問題になることはまずないように思います。
診察の時に、女性看護師に介助にはいってもらうなどの配慮は必要だとは思います。
職場では、女性医師と男性医師が、それぞれの特性を生かして協力するイメージで、働きにくさは無いと思います。
女性医師は 働きやすいですか?
名古屋市立大学
加藤 裕史 先生
他の科に対して皮膚科における最も大きなアドバンテージは、女性医師としてのロールモデルが多いという点であると思います。
大学などで研究を続けている方や、子育てしながら一般病院で診療を行っている方など、ライフプランにおいて迷った際に相談できる先があるのは大きいのではないかと思います。

済生会川口総合病院
高山 かおる 先生
とても働きやすいと思います。

女性的視点は疾患を診るときに時として大変役にたちます。
また皮膚科は炎症から腫瘍、美容と網羅する疾患の範囲や、小児から高齢者までと対象年齢層も広いので、自分のライフスタイルや得意なことにあわせた働き方を選択しやすいとおもいます。